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書評『エフェクチュエーション』 ― 優れた起業家が実践する「五つの原則」


吉田満梨著『エフェクチュエーション』 ― 優れた起業家が実践する5「つの原則原理」ダイヤモンド社。筆者撮影。
吉田満梨著『エフェクチュエーション』優れた起業家が実践する5「つの原則原理」ダイヤモンド社。筆者撮影。

※本記事で紹介する書籍は当社出版物ではなく、筆者が一読者として取り上げたレビューです。



はじめに



独立してソロプレナーとして活動する中で出会った一冊、吉田満梨先生の『エフェクチュエーション 』― 優れた起業家が実践する「5つの原則」、を読みました。不確実性を前提に行動するための五つの原則を示す本書は、私自身の経験と驚くほど重なり合う内容でした。この記事では、その五つの原則を整理しつつ、自分の実感を交えて書評としてまとめています。



五つの原則


1. 手中の鳥の原則(Bird in Hand)


人は「自分が誰か」「何を知っているか」「誰を知っているか」から始める。大きな計画を描く前に、手元にある資源をどう活かすかを出発点とするのです。私自身も、マイクロ法人を立ち上げたときに、既に持っていたネットワークや知識を基盤にしました。ゼロから探すのではなく、手の中にあるものを数え直すことが第一歩だと気づきました。



2. 許容可能損失の原則(Affordable Loss)


「どれだけ得られるか」ではなく「どれだけ失ってもよいか」を基準に意思決定する。私は独立後、生活コストを見直し、機会損失と比較しながら仕事を選ぶようになりました。大きな利益を追い求めるよりも、損を許容できる範囲を把握することが安心感を生み、挑戦を継続する力になります。



3. レモネードの原則(Lemonade)


「When life gives you lemons, make lemonade.」――酸っぱいレモンを受け取ったら、それを甘いレモネードに変える。私は疲弊型で再現性のない仕事や、戦略を持たない相手との関わりを「レモン」として経験しました。しかしそれをきっかけに自分の方向性を見直し、事業を再構築する契機とすることができました。想定外や不快な出来事さえも資源になり得ると気づいたのです。



4. クレイジーキルトの原則(Crazy Quilt)


未来は一人で描くものではなく、偶然出会ったパートナーと縫い合わせるようにして形づくられる。ここで大切なのが「問いかけ(asking)」や「おねだり」の姿勢です。「一緒にやってみないか」とお願いすることで、思わぬ協力が生まれます。断られたとしても、相手の関心や価値観を知ることができ、その情報が次の布片となってクレージーキルトを広げていきます。



5. パイロット・イン・ザ・プレーンの原則(Pilot in the Plane)


未来は予測するものではなく、自分の行動によって形づくるものです。私は上場会社の海外法人で董事長を務めていた経験から、計画と管理を徹底するコーゼーション型の強さも理解しています。しかし独立後は、自分が操縦桿を握るパイロットであるという自覚が欠かせません。環境に翻弄されるのではなく、自分の関心軸と判断基準を自動操縦として設計することで、ぶれずに進むことができます。



総括


これら五つの原則は順番に踏むステップではなく、同時進行し、循環するものです。手中の鳥を見直し、損の許容範囲を決め、レモンをレモネードに変え、問いかけを通じて布片を縫い合わせ、自分がパイロットとして舵を取る。このサイクルを繰り返すことが、不確実な時代に事業を進める力となります。



結び


エフェクチュエーションを実際に実行できる人材、すなわち「エフェクチュエーター」の価値はもっと評価されるべきです。どんな起業家も、意識するしないにかかわらず、最初の段階ではエフェクチュエーションを実践しています。手元にある資源を起点にし、損の範囲を見極め、偶発性を受け入れ、関係を縫い合わせ、自ら舵を取る――その力こそが新しい事業を生み出す源泉です。


そして、そうしたエフェクチュエーターを登用し、尊重できる組織だけが、変化の時代を生き抜いていけるのだと思います。ソロプレナーとしての私自身も、まさにこの原則に支えられて進んでいます。本書はその実感を言葉として与えてくれた、大切な一冊となりました。



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